今こそ!!Hotel Wedding
※ブライダル産業新聞1月1日・11日新春特大号掲載
昨年1年間を通じて、本紙で連載してきた全国B.M.C.会員ホテルのインタビュー。
「今こそホテルウエディング」をテーマに各社の取組み、マネージメント層の想いを紹介してきた。新春号の今号では、全国B.M.C.の会長であり、東京ドームホテル(東京都文京区)料飲サービス部・宴会サービス課課長の菅野俊郎氏のインタビューを掲載する。
バンケット文化発展を担ってきた全国B.M.C.の役割と共に、人材不足などの課題に対してどのように対応しているのか。
また、同会は毎年1回若手コンペティションを実施しているが、2025年は本紙主催【ブライダル産業フェア2025】内での開催も決定した。
ホテルが170社加盟している全国B.M.C.
B.M.C.の組織・活動概要を教えてください。
ホテル法人が、全国で170社加盟しているバンケットマネージャーの協会です。加えて、賛助会員が300社となっています。日本全国を12地区に分け、北海道から沖縄まで地区ごとに定期の勉強会、情報交換会などを開催しています。
それを統括する形で全国B.M.C.があり、年に1 回夏季研修会を実施。様々なテーマに対し若手スタッフが発表する、コンペティションも行っています。今年は6 月、ブライダル産業フェア内で実施することが決定しました。それ以外には、各地区の会長・事務局長と情報交換をしながら、今後の取り組みの話し合い。また人員不足への対応など会員向けのアンケートを実施し、事例の共有などを進めています。
若手コンペティションは、毎年盛況ですね。
宴会に関するあらゆる分野で健全な発達を促し業界発展に貢献するという目的があり、その一環として若手の育成があります。テーマは毎年全国の役員で検討し、昨年は婚礼となりました。今年は第12回目となり、恒例のイベントになっています。
ホテルのバンケット運営についての課題とは。
一番は人員不足であり、正社員、配膳スタッフ共に募集をしてもなかなか応募がない。コロナ禍で仕事がなくなり、配膳会の補償もなかったために、不安定な業種から離脱した人も多い。またホテルの正社員も部署異動となり、いざ宴会が戻ってきたからと人を集めようとしてもなかなか入ってこない。アルバイトの時給を上げても厳しい状況です。結局これまでは考えられなかったスキマバイトに頼らざるを得なく、人手不足によってサービスの低下に陥っているのは非常に厳しいと言えます。
運営方法自体の見直しも必要かもしれませんね。
B.M.C.では人員不足をテーマにした様々なアンケートを取ってきていて、参考になる話もありました。
これまで料理を運ぶときにはウェイターが裏まで取りに行っていたのを、会場の中に数多くの皿を並べられるワゴンを作って、そこから各卓に運べるようにした。会議とパーティーの形式を固定化して、どんでんや当日のスタンバイを無くす。最近は80%程度が女性スタッフになってきているため、軽量化したテーブル、椅子に切り替えるなど。外国人やスキマバイトの活用方法も含め、他のホテルでの事例をヒントに、様々な解決策を考えていかなければなりません。
一つひとつは細かな業務効率化であっても、それを積み重ねることで全体の人員不足をカバーできる省力化に繋がります。
例えば、参加者がドリンクを自由に、好きなように作れる、セルフの宴会も一つのアイデアでしょう。またドリンクのお代わりの手間を省くために、大きなサイズのグラスを採用するなど。
ホテル宴会という固定観念に対し、どこまで踏み切れるかという課題はあるものの、ここまでしないととにかく対応できなくなっているのも事実です。例えば身だしなみに関して、ホテルでは髪の毛の色や長髪、マニキュア、ピアス、髭は禁物でした。ただそれを言っていると、時給を上げても応募は増えないわけです。それならば身だしなみの基準をどこまで下げるのかも考えなければなりません。
また配膳と片付けメンバーを分け、片付けのみこうしたスタッフで対応する。サービス自体は身だしなみの整っているスタッフに任せ、片付け専門部隊として各バンケットを回っていく。搬入や翌日のスタンバイにも対応できます。これまで全てを担当してきた仕事自体を、人に合わせて分けていくことも今後は必要になるのかもしれません。