【連載企画】ブライダル産業新聞(第7回:大阪・兵庫B.M.C.)

今こそ!!Hotel Wedding

※ブライダル産業新聞8月1日・11日合併号掲載

昨年、神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸市中央区)の施行部門のマネージャーに就任した松浦優氏。
2013年に26歳で広告会社からプランナーへの転身を決意し、ホテルの人事に直接求職の電話をかけてアルバイトから採用、翌年社員となり新規セールス、施行を担当してきた。キャリア10年の節目にマネージャーとなり、6人の施行チームを采配している。
強力なゲストハウスがひしめく神戸エリアにおいて、いかにホテルWならではの特徴を打ち出しているのか。今年からオーダーメイドのコース料理を投入して単価アップを図るほか、ロケーションを活用した前撮り需要獲得にも力を入れていく。

神戸メリケンパークオリエンタルホテル(大阪・兵庫B.M.C.) 
セールス&マーケティング部 婚礼課 マネージャー
松浦 優さん

打合せのオンライン対応も推進

2 チャペル 7 バンケットを有している同ホテルは、コロナ前から施行組数が減少しているものの、ゲストハウスが優勢な神戸エリアを考慮すれば、ホテルWの強みを発揮しながら健闘しているといってもいい。変化する顧客ニーズに対して、どのように対応しているのか。

やはり人数に関しては減少していて、40~50名平均になっています。それ以外には子ども連れの新郎新婦、マタニティのゲストも増加。その点では、新たな対応が求められてきます。

打合せに関しても、子ども連れで安心できる個室ブース 3 部屋で対応しているほか、オンラインも積極的に薦めています。

マタニティの新婦であれば、打合せの回数は増えても、1 回あたりの打合せを短時間にしつつ、成約後の早い段階からスタートしています。

オンライン対応によって増えているのが、遠方に居住している新郎新婦の受注だ。これまでは神戸、広くても関西圏在住の新郎新婦中心であったのに対し、最近は北海道、九州、東京に在住している地元出身者の成約に至っている。
今年 4 月から、料理単価のアップを目的に新メニューもスタートした。同ホテルの初代は、1870年代に日本最古級の西洋式ホテルとして創業しており、歴史と伝統を受け継ぐ料理は最大の売りの一つである。料理をブライダルにおいても強みとして打ち出していくために、ホテル統括料理長が新郎新婦と直接打合せをしながら作る、オーダーメイドのプランを 2 万3000円で販売開始した。

現在料理コースは 3 種類のコースがあり、年間の平均は 1 万5000円となっていますが、これをさらに単価アップしていくために、付加価値の高いコースを作りました。

またドリンクについても、関西ではまだまだ少ないのですが、微アルドリンクやモクテルをウエディングでもいち早く採用することにより、単価アップは可能だと考えています。

料理の単価アップは、成約者向けの試食会を月に 2 、3 回実施。その際には親にも一緒に参加してもらうことを促し、2 コースを食べ比べしてもらいながら単価アップを図っている。

8 月12日には夏の成約者向けビッグフェアを開催しますが、そこではホテルオリジナル商品も披露します。ホテルのロゴを入れたカップやグラスを制作し、新郎新婦の名前を入れて両親贈呈品として提案。人気の体重ベアも同様にオリジナルのロゴを入れるほか、独立型チャペルの【アクアホール】、【マリンホール】をイメージしたリングピローも商品化。持込み対策になれば、自ずと単価も上がっていきますから。

神戸港中突堤の先にあり、270度を海に囲まれたロケーションもまた同ホテルの強みだ。そこで武器になるのがフォトである。

新郎新婦のウェルカムボードを見てみると、居留地で撮影した写真を使っていることが多く、そこで海だけでなく居留地のロケフォトにも対応していきます。また独立型チャペルを 2 つ持っていることを活かして、挙式をしない方のチャペルでの前撮りも実施。当ホテルの 2 階には客船ターミナルがあり、世界を周遊する豪華客船も係留します。その日程に合わせて、海、豪華客船をバックにした前撮りも可能。これは当ホテルでしか撮影出来ないフォトであり、その打ち出しを強化していきます。

マネージャーとしてチームマネージメントを任される立場になった松浦氏であるが、今年は新入社員が 3 名入ってきた。彼女たちを含めて、若い世代をいかに教育していくか。技術の実践については、焦らずに身に付けさせていくというスタンスである。
一方、ホテルウエディングだからこそ求められる知識も多い。

それこそ、招待状用の切手は何円ですか?ということを聞かれるのも打合せプランナーです。またホテルの場合には、宿泊やレストランに関するある程度の知識は必要だと思います。宿泊のチェックイン、チェックアウト時間、部屋の広さ、レストランの営業時間やメニューなど。

先日担当した新郎新婦から聞かれたのは、お兄さん夫婦が子ども連れで宿泊するため、『子供用のスリッパはありますか?』、『オムツは用意されていますか?』。

結婚式以外でも、ゲストに直接関わる知識はやはり必要です。

コロナ禍で多くの結婚式が実施されなかったことで、結婚式に列席したこともないという若いスタッフは増えている。それこそ、ご祝儀はいくらですかと聞かれても、明確に答えられない可能性もある。
そこで同ホテルでは、新入社員を入社 1 か月間、宴会サービスの担当として実際に施行に入らせる研修を実施している。挙式、披露宴の流れを理解しつつ、現場経験によって結婚式の知識を高める機会としている。
マネージャーになって半年、周囲の期待を抱えながら商品造成を含めた売上向上を担っていく上で、グループホテルに勤める同じ立場の人たちの存在が松浦氏を勇気づける。

以前はそれぞれのホテルで、独自のウエディングを進めているイメージでしたが、最近はグループホテル全体の研修などを通じて、東京ベイ、お台場など他エリアのスタッフとも親交が深まっています。マネージャーとしての悩み、相談もメールやオンラインで出来るようになったのは、すごくプラスになっています。また他エリアの状況、うまくいっている事例を共有し、それを神戸でも展開しています。

例えばオリエンタルホテル東京ベイでは、パパママキッズ婚に力を入れている。一昨年見学にいったところ、ブライダルサロンにキッズスペースを常設しているといったサービス面はもちろん、スタッフもパパ、ママが比較的に多いという話も聞いた。

そういうところは今の私達にまだまだ足りていないところなので、今後の課題として進めていきたいと思っています。