【連載企画】ブライダル産業新聞(第11回:沖縄B.M.C.)

今こそ!!Hotel Wedding

※ブライダル産業新聞12月11日号掲載

1975年にオープンした沖縄ハーバービューホテル(沖縄県那覇市)は、伝統的なローカルウエディング(県外からのリゾートWに対し、沖縄県在住者による結婚式)がほぼ100%を占めている。
婚姻数減少、なし婚の増加などで厳しい状況ではあるものの、地域色を活かした対応で長年地元住民に評価されてきた。1989年同ホテルに入社した西向忠夫氏は、レストラン・バンケットサービスでキャリアを重ね、コロナ禍の2020年に兼務の形でブライダル責任者に就任した。ローカルWを盛り立てる役割を担っている。

沖縄ハーバービューホテル(沖縄B.M.C.) 
料飲部支配人
西向 忠夫さん

来年にはホテル開業50周年を迎える

沖縄ハーバービューホテルは1975年の沖縄国際海洋博覧会に合わせて県内にオープンしたホテルの一つであり、博覧会の来賓パーティーなどに対応するために大型バンケットを設けていた。その後、会場内に披露宴用のステージを増設するなどして、ローカルWも手掛けるようになった。

那覇空港から車で10分の立地であり、県庁にも近いアクセスです。地元の政財界に利用されてきたほか、政府関係者が来県する際や天皇皇后両陛下もお泊りになられるなど、県内ではブランド力の高いホテルとして認知されています。

2025年に50周年を迎える古豪ホテルで、西向氏がブライダル部門を任されることになったのは2020年のこと。高卒で入社後35年間同ホテル一筋の西向氏だが、フレンチレストラン、バーテンダー、バンケットセールス、キャプテンなどサービス畑を歩んできた。披露宴の現場経験が豊富なこともあって、料飲・ブライダルを兼務で任されるようになった。

結婚式当日の現場サービスではエスコートも担当し、新郎新婦・ゲストの想いをすぐ近くで感じる機会は数多くあったため、それほど違和感なく担当することが出来ました。また商品構成や接客面に関しても、以前実施していたブライダルのグランドフェアにおいて新規顧客のヘルプに入っていたこともあって、ある程度理解していたのは強みだったかと。

沖縄のローカルWは、平均ゲスト数が多いことも特徴である。コロナ前の250名平均から減少しているとはいえ、現在でも200名を超えている。引出物はオン・テーブルが一般的で、贈り分け対応はサービスの役割。西向氏が両部門を兼務していることで、ミスのないスムーズな連携を可能としている。また通常3 時間、3 時間半かかっていた披露宴の時間も、現在は2 時間半で収めるようになっている。時間を抑えながら、かつスマートに運営していく上で、以前は婚礼部門の打合せ時の調整不足とやり玉にあがることがあったものの、現在はサービス、ブライダルの連携により、お互い歩み寄る意識になっている。

沖縄のローカルWは独特です。以前は友達を連れてきたからと、当日でも1 人、2 人の列席者が増えていましたし、時には急遽1 卓を増やさなければならないことも。当日に料理の追加は出来ませんから、基本は卓盛りの大皿提供で席だけを用意し対処していました。もともと公民館でお弁当を食べながら披露宴をして、その後2 次会という流れの中で、それを聞いた地域の色々な人たちがどんどん増えてお祝いをするという文化的な側面から、当日まで人数把握は難しく、披露宴も長時間になりがちでした。

最近は映像での余興が増えているとは言え、ステージでの踊り、寸劇を入れる披露宴も沖縄ならではといえる。お祝いの席では、乾杯の後【かぎやで風】という沖縄舞踏で幕を開けるのも定番であり、結婚式の場合にはハレの日に向けて新郎新婦の兄弟・姉妹が一生懸命練習をして披露する。

沖縄独特の歴史のあるローカルWも一つの文化だと思っているため、ホテルとしてはそれを守っていきたいというところもあります。それを地域で取り組んでいこうと、コロナ前にはローカルウエディング協会が誕生しました。地元のなし婚も課題になっている状況で、例えば会費制にしたらどうかなど、色々なことを話し合っています。最近では地元在住でありながら家族だけの少人数でリゾートW施設を使って実施するという人も増えてきていますので、ローカルWを守っていく必要性はより感じています。

地元の人たちの変化を受けて、今後に向けた対応も進めている。
少人数向けの商品造成もその一つ。これまでは希望のある場合は、パーティープランで対応してきたが、そうしたニーズを獲得する
ためにも早急に商品化していくことを検討している。また空港からのアクセスの利便性や、宿泊滞在しながらの提案などにより、ホテルでの結婚式のメリットを打ち出していく。

沖縄ならではの結婚式を、しっかりと伝えていくことも大切な役割でしょう。ドレス中心とはいえ、中には琉装を着用する人もいるため、それに対応してくことは必要。また当ホテルでは、琉球結婚式という挙式も提供しています。人前式の琉球バージョンで、琉装を着てオルガンの代わりに三線と胡弓の生演奏。進行する側も琉装を着用する挙式で、こうした伝統を体感出来るという点は今後も大切にしていきます。

一般宴会については、地元企業の需要が戻り、MICEのインセンティブパーティーも活発だ。1000名規模のケータリングに対応するケースも増えている。こうした法人利用を結婚式にも繋げていくために、紹介による特典制度などを設けて、若いカップルへのアプローチを強化していく。